第一部 波濤篇
第四章 函館大火始末 

                                                                                   風位の変更と焼失区域との開係 


発火より数分にして住吉町外数箇所に飛火し、午後七時二十分頃には全町に拡大し、南々西の烈風に煽られ、飛火著しく、風下の谷地頭、春日、青柳、汐見、相生、蓬莱、寶、地蔵、西川、汐止、鶴岡各町方面に進展し、同十一時頃より、風向次第に西に廻り、若松、音羽、高砂、松風、新川、千歳其の他一帯を焼き彿ひ、二十二日午後一時頃より風力は次第に衰へたけれども、火力口余勢に依り堀川、中島、千代ヶ岱、高森、砂山方面へ延び.同日午前六時に至って漸く鎮火した。 

         

 火災拡大の原因


 火災披大の原因は多々ある事と思はれるが、各種の観黙より大体以下に帰結することが出来る。
イ,   最高二四米といふ稀に見る突風にしてヽ大勢猛烈を極め消防の活動意の如くならず、水勢乱れて局所注水不可能に陥り、防火中消防手が時々吹飛ぼされ、各所に飛火し
       て一時に発火したこと。
ロ、 地形の関係に依り延焼中頻りに旋風突風がたったこと。
ハ、 発火地黙附近に倭小木造家屋が連なり、。市内全般に亘り可燃焼建築物 の多かったこと。
二、 道路が概して狭隘で防火地孤彭く、廣場、公園等は、都市計書上の施設未だ完成して居らなかったこと。
ホ、 発火地黙は水道の経點たる為。水圧弱く水量に乏しかったこと。
 

 

 

函館大火
(函館消防本部提供)



罹災地図
函館消防本部提供


 函館大火概要
(函館消防本部提供
 

 

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